整いすぎた舞台で踊る

  • 交わされずに、終われずに
  • 偶然に絡みついたふたり
  • 囁き合う噂、つんざく歌声
  • めまぐるしき敗戦の夏
  • 笑ってないで傍にきて
  • 置き去られた季節に花
  • 押しつけがましき迷子の呪文
  • 美しき人ならず

アニタ、もう泣かないで

  • 今宵あなたが居なくとも。
  • 月まで凍りそうな夜に。
  • 今日と明日を区切りたいから、ぼくはもう眠るよ。
  • それならいっそ、知らない方がいい。
  • ブレる音に戸惑いながら、今居る時間が音速で砕ければいいのに。
  • 濁りきった空の下で、求めるものはなにひとつ。
  • “女の子”じゃ足りなくて。
  • お疲れ。また、明日。

夢見の狼たち

  • あなたの世界は、私には必要ありません。
  • 泣かないで、って云うその言葉が、卑怯。
  • ふれて、あふれて。こぼれて、あぶれた。
  • 起源なんてどうでもいい。ここに私がいる事実。
  • “剥き出しの愛”って、素敵じゃない?
  • 鋭くなくていい。ただ、底知れず鈍く。
  • 恋とか、愛だとか。態度で教えて。
  • 折った枝は、この頁に挟んでください。

夏鬱

真夏の太陽に炙られた風が傍を通り過ぎた
僕の覚悟を確かめるようにゆっくりと
産まれた時から最後尾の僕に無言の期待が迫り来る
今は情熱に燃えるこの使命感の死骸に思いを馳せる

川の隅に溜まった泡が弾けて消えた
救いを乞うことなく潔く弾けて消えた
夢を抱くことに求められ 道を築くことを急かされ
この泡のように焦りだけが溜まり
いつかは弾けて消えてしまうのかな

あの夏風のように
いつか情熱を失って通り過ぎるのかな

あの川の泡のように
いつかは弾けて消えてしまうのかな

その方が幸せなのかな

あかいとり

お逃げなさい 赤い鳥
慇懃無礼な獣が這う街
燃える居場所は嘲りの徴

お隠れなさい 赤い鳥
裸足で歩く荒野の果てに
望む景色は希か絶か

さあ、お啼きなさい
閉じ籠められた千夜の一夜
此処は優しい茨の檻
外は見知らぬ雨季の闇

さあ、お啼きなさい
抉じ開けられた千夜の一夜
挿さる棘は偽善の指
剥ぎ盗られた羽の末路

陰湿な花が嗤う街に

苦しいのは果てない不安
塗り固められた空に
鳴声を奪うほどに赤

雨の街

これからふたりで棲みつく街は
ずっと雨が降っていればいい

雷を灯りに水溜りで顔を洗い
雨を纏い雨音で踊る
それに飽きたら
止まない雨音を聴きながら
お気に入りの本を片手に
ずっと君と家に引き籠もる

僕と君だけの愉しみ
雨水が滴る肌で確かめ合うのは
愛だけではなく
いつか僕らも他愛ない雨になればいい

明日再会

今日の君の言葉が
僕を殴り飛ばして踏みつけて
ぐうの音も出ないほど蹂躙した

悔しくて握った拳は
その裏に隠された意味を知ってしまい
結局は空を掠めるだけ

明日遭ったらなんて云おう
悩んで悔やんで嫌がっても
無慈悲に日は昇る

明日災害

裏切りの口実

その言葉が遊びなら 容赦なく暴言が吐けるのに
その笑顔が作り物なら 力一杯その頬を打てるのに
その気持ちが偽りなら その期待を簡単に裏切れるのに

不完全な君へ

全てに於いて矛盾者
完全なんて絵空事
知っているけど期待する
欠陥だらけ理想郷
知っているけど求めてしまう
堕落だらけ白昼夢

劣等 妄想 自己嫌悪
溺れるものは多けれど
せめて傷跡刻んでけ
此処に生きたと標を示せ
自分は何かと問うた時
自分へ戻る軌跡を残せ