祈り

最期の日
真剣な面持ちのあなたは始終無言で
つい安心させたくて少し泣いて笑った
さよなら 別れの言葉はこれに尽きる

ちっとも軽くならない身体には本当は不安しかない
けれど今までの緩慢な絶望より
何も起きなかった後の未来より
ずっと望んでいた日が来る

自分の手を汚す事なく正当化した自棄な願い
それだけが希望
一方的なメールも煩わしい日常
表面的なニュースも無関心な日常
沈みかけの夕日だけが忘れないでと未練がましい

仄あたたかい街灯に照らされる花びらが
新しい制服の子供達に踏みつけられる
普遍的安堵感 偽装的平常心 希望的絶望不安
寂しさ 理不尽 諦観 自己の不在

さあ、今日は最期の日
何も起きなかったら明日が現実的絶望に始まり
さあ、穴蔵に入る準備をしてあなたに逢いに行こう
一面焼け野原一欠片も残らない世界を想像しよう
夢の中では、あなたは笑ってくれるはず
ずっと希望に満ち溢れた光の中で

Hello world!

見つけてくれてありがとう。
ここは生真面目に成ることを諦め、馬鹿に成り下がることを厭い、中途半端な知識と偏った常識で、社会を、世界を、人間を、こうあればいいのになぁ…と、ないものねだりを唱える場所です。
小さな悩みから大きな疑問を解決したいがために、忘れないように書き留めるためにあります。
備忘録です。古い表現では「チラシの裏」です。
そんなもので良ければ覗いてあげてください。

物語は。始まらない、

夏、だったと思う。

僕は実家の縁側に座って、空を眺めていた。

実家は東北の田舎町で、名産といえば険しく美しい山と、土左衛門が終着する豊かな海、時に反乱する清らかな湧き水。
平和主義の二世達が、ひたすら田畑を耕し、自然観光と農作を売り物にして生計を立てていた。
特に僕の家は、山の麓で人通りも少なかったから街灯すらなかった。
まあ、そんなんだから、夜は星が結構綺麗に見れた。あと、蛍もたくさんいた。

そう、話を戻そう。その日は、すごく晴れていた。

空の色が印象的で、喩えるなら水が足りない時の絵の具のように濃い群青色。
空気が、太陽と生い茂る草と乾燥した土のせいで熱いわ、青臭さわ、泥臭いわ、なのに、酷く湿気っていた。ただ、なんかそれが心地よくて。

縁側でぼんやりしていたら。

(豹がいるから此処を通れない)

田圃の真ん中に大きな麦わら帽子を被った真っ黒に日に焼けた爺さんに言われたんだ。
爺さんの周りには、糞暑いのに何十匹の厚い毛で覆われた羊がいてさ。
爺さん、異国風の堀の深い顔なのに、流暢な日本語で、また、言うの。

(豹がいるから此処を通れない)

(通れなければ、この羊たちも通れない)

爺さんの鋭い眼光は真っ直ぐ僕を差していた。
空寒い気分になり部屋の中入ろうとしたら、縁側の前に豹がいた。

今までいなかったのに、いきなり。爺さんの方見ると、ぼんやりしてるの。話しかけられる前の僕みたいに。

豹なんて、どうしていいかわかんなくてさ。とりあえず、戦ったさ。

漫画の表現であるでしょ?殴りあうときに出る謎のモコモコと星。あんな感じで。

で、どうにかこうにか、僕が優勢になって、豹を頭の上に持ち上げたのさ。

勝者の雄叫びって感じに。

そしたらさ、悪寒が走ったんだ。

僕の次の行動は、実家の近くにある溜池―いきなり現れた底なし沼みたいな場所にさ、この豹を投げ捨てなければいけない。

その映像が見えた。そしたら、ゾッとしたの。虫だったら殺れるよ?ただ、猫とか犬とかの大きさとか、哺乳類とか、ましてや豹ってデカいだろ?人間よりもデカいやつ。

殺すんだ、僕。って、想像したら、すごい罪悪感と不快感。

でも、爺さんが困っているのも嫌だし、映像の通りに溜池に豹を落とした。

そして、豹は死ぬ。

俺は、爺さんのところに行くと、やつら居なくなってんの。

なんだよ!お礼もなしかよ!って。

不貞腐れていると、なんか怪しい機関から勧誘されるの。

―その力で私達を救ってくれないか?

って。

鏡の国ラプソフィアーネ

救いたいものは何ひとつないけれど
ラプソフィアーネ 君を守りたい
お互い向かい合わせ
僕が笑えば 君が嗤う
僕が怒れば 君が煽る
僕が哀せば 君が愛す
変わり者のラプソフィアーネ
何ひとつ揃わない僕らは
今日も世界を相手に戦って
傷を確かめながら生きている
今は指さえ繋げないけど
ラプソフィアーネ 僕だけが君を知っている
そう 君は

鏡が割れたら逢えるだろうか
まだ時間がかかるだろうか
狂っていると罵る世界を捨てて
いつか触れる時がくるだろうか

ただ君に故に

かわらない
どんなにあなたからの色が薄まろうとも
想うことも 慕うことも そのままであり続ける
どんなかたちでもいい あなたにまた逢えるのなら
その時のために 泣く準備はできている

鈍色の街

  • 翠の進言者
  • 素色の暴君
  • 蒼の犠牲者
  • 暁鼠(あかつきねず)の仲介人
  • 紫紺の故人
  • 象牙の花嫁
  • 真朱(まそお)の裁判官
  • 琥珀の子

神様殺し

  • 咎人と浮浪者
  • 玩具の成れの果て
  • 足のもつれた法王
  • 滅茶苦茶な言訳
  • 舌を噛んだモナ・リザ
  • 愉悦の議会
  • 消却処分
  • ここにはいないない

夜の人々

  • ハイビート・バニー
  • 片足ピンヒール
  • フラフープ・タップ
  • ヘール・ボップの彗星
  • クラブ・マンホール
  • レディオの女王
  • レイン・ダンサー
  • 月とハイボール