泣いて笑って陽が落ちる
人々が家路に帰る頃
赤く染まった国道沿いで
名もない花がひっそりと枯れた
神に祈ることもない
雨を憎むこともない
境遇を呪うこともない
その最中で必ず次を遺して去って逝く
同じ赤に染まっても
何にもなれない自分はどうだろう
枯れ続けながら泣いている
神を信じる前に
雨を憎む前に
境遇を呪う前に
長い命を悔やんでいる
泣いて悔やんで枯れ続け
名もない花になりたいと
裸電球の灯に染まった
八畳間で独り蹲る
人類史の連鎖に組み込まれることもなく
ひっそりと消え去ることを祈っている