あかいとり

お逃げなさい 赤い鳥
慇懃無礼な獣が這う街
燃える居場所は嘲りの徴

お隠れなさい 赤い鳥
裸足で歩く荒野の果てに
望む景色は希か絶か

さあ、お啼きなさい
閉じ籠められた千夜の一夜
此処は優しい茨の檻
外は見知らぬ雨季の闇

さあ、お啼きなさい
抉じ開けられた千夜の一夜
挿さる棘は偽善の指
剥ぎ盗られた羽の末路

陰湿な花が嗤う街に

苦しいのは果てない不安
塗り固められた空に
鳴声を奪うほどに赤

雨の街

これからふたりで棲みつく街は
ずっと雨が降っていればいい

雷を灯りに水溜りで顔を洗い
雨を纏い雨音で踊る
それに飽きたら
止まない雨音を聴きながら
お気に入りの本を片手に
ずっと君と家に引き籠もる

僕と君だけの愉しみ
雨水が滴る肌で確かめ合うのは
愛だけではなく
いつか僕らも他愛ない雨になればいい

裏切りの口実

その言葉が遊びなら 容赦なく暴言が吐けるのに
その笑顔が作り物なら 力一杯その頬を打てるのに
その気持ちが偽りなら その期待を簡単に裏切れるのに

明日再会

今日の君の言葉が
僕を殴り飛ばして踏みつけて
ぐうの音も出ないほど蹂躙した

悔しくて握った拳は
その裏に隠された意味を知ってしまい
結局は空を掠めるだけ

明日遭ったらなんて云おう
悩んで悔やんで嫌がっても
無慈悲に日は昇る

明日災害

不完全な君へ

全てに於いて矛盾者
完全なんて絵空事
知っているけど期待する
欠陥だらけ理想郷
知っているけど求めてしまう
堕落だらけ白昼夢

劣等 妄想 自己嫌悪
溺れるものは多けれど
せめて傷跡刻んでけ
此処に生きたと標を示せ
自分は何かと問うた時
自分へ戻る軌跡を残せ