嫌気

帰宅したら墓地案内のチラシをポストが咥えていた。

仕事でくたくたのボロカスになりながら、やっとのこと社会の中で生きているのにそれはないだろ。
いや、むしろ、逆に早く楽になれというお達しか。
誰からの?
信仰心のない自分に構ってくれる神様仏様様がいらっしゃる訳がない。
だがしかし、チラシの謳い文句は「宗旨宗派を問わない」。
「問わない」と言われると、逆に困ってしまう。
社会に「フリー」が充満し、「自由」に動くことが不慣れな自分はいつも身構えてしまう。

法律の机に、倫理の紙、常識の鉛筆。
自分が思った絵を描こうとすると、自分で引いた線はとても歪んで、所々線が切れている。
それでもこの30年近く生きて来た経験に基づき、なんとか理想の世界を描こうとすると、
他人の消しゴムが出てきてこう言いながら消すんだ。
「それは理想。すぐにはできない」
「仕方がない」
知ってるよ。理想だって。
でも、さ、自由に描けって云ってくれだじゃないか。
だから、描いているのに。少しでも話を聴いてくれてもいいじゃないか。
いつも自分は、効率が悪い方法で線を引くから、歪むし途切れる。
客観的に見ればイラつくのかもしれないし、もう他人が考えたことなのかもしれない。
でも、さ、なら教えてくれよ。
それはもう使えないことを。理由を諭してくれよ。
そんな嫌そうに話を遮らないでくれよ。

くたくたのボロカスの自分は墓石なんて贅沢だ。
どこかの緑のきれいな山奥、静かな川が流れるところでひっそり死にたい。
いや、それの方が贅沢か。
もう、この地ではないところならどこでもいいや。

投稿者:

三本不明

不安でどうしようもない、頭が冴えすぎて寝られない夜に吐き捨てる完全無欠の文字列ブログ