今まで大事にしていたのは
その裏にある付加価値のせい
元彼女から買ってもらった本
尊敬していた彼が好きだと云ったCD
父親から貰った使い古しのコーヒーメーカー
ボロボロでも壊れてしまっても
ずっとしまっていた
自分では得られない価値観を
あたかも自分のもののように錯覚するために
今はもういない彼らにしがみついていた
でももう違う
本当に守りたい人ができた
自分が好きな音楽を知った
違う機械でもあの味は忘れない
僕は覚えている
ものがなくてもその先の付加価値のこと
辛い記憶も楽しい記憶もそれ以外も全部
結局僕は忘れたくても忘れられないのだから